先日、映画「糸」を劇場で観てきた。
平成という時代を生き抜いてきた若者に刺さる内容で、同世代も僕も感銘を受ける場面が沢山あったので紹介したいと思う。
概要
公開日:2020年8月21日
配給:東宝
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
キャスト:菅田将暉、小松菜奈、山本美月、高杉真宙、馬場ふみか、倍賞美津子、永島敏行、竹原ピストル、二階堂ふみ、松重豊、田中美佐子、山口紗弥加、成田凌、斎藤工、榮倉奈々
本作は、中島みゆきの名曲である「糸」から着想を得て、TBSのプロデューサーである平野隆が原案・企画プロデュースを担当した作品である。
平成元年に生まれた主人公を軸に、平成史を振り返るような内容になっている。
当初は4月24日に公開予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、8月21日に公開が延期した。
監督は、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」や「64-ロクヨン- 」を過去に手がけてきた、瀬々敬久が務めている。
主演は、平成に生まれ、平成に名を馳せた菅田将暉と小松菜奈が務めている。
他にも山本美月、高杉真宙、馬場ふみか、二階堂ふみ、成田凌などの、若手俳優が多く出演している。
一方で、倍賞美津子、永島敏行、松重豊、田中美佐子、山口紗弥加とベテラン俳優人が脇を固めており、どのシーンにおいても重厚感たっぷりの見応えのある演技を観ることができる。
演技派として知られている菅田将暉と小松菜奈の演技は注目すべき点が沢山あった。
とくに表情が素晴らしかった。
「糸」の中では、「めぐり逢い」をテーマに物語を描いているため、登場人物たちも喜怒哀楽の様々な感情に揺さぶられる。
そういった状況で、複雑な想いを見事に表現していた。
今回、菅田将暉が演じた漣という役は、今までの菅田将暉があまり演じてこなかった受けの演技を要求する役所であり、それを見事に演じきっていた。
そういった菅田将暉の新たな一面をみれるというのも、本作の見どころでもある。
あらすじ
平成元年生まれの高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)。
北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。
そんなある日、葵が突然姿を消した。
養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。
真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。
しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまう。
その後、葵は、母親に連れられて北海道から移ることになった。
漣は葵を見送ることすらできないまま、二人は遠く引き離された…。
それから8年後。
地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。
北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。
もうすでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。
そして10年後、平成最後の年となる2019年。
運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた…。
※HPより
みどころ
みどころではないが、僕はこの映画を平成という時代を生きてきた20代後半から30代前半の人に是非みて欲しい映画であると思っている。
進学、就職、恋、夢など、10代から20代にかけては色々なライフステージがあり、その時々に色濃い想いが誰しもあると思う。
僕自身も平成5年生まれであり、主人公である漣と葵は平成元年生まれのため、ほぼ同じ時を彼らと同じように過ごしてきた。
そんな彼らの物語を通じ、僕自身も平成を振り返るとともに人生を振り返ることができた。
劇中には、リーマンショックやオバマ大統領の就任、東日本大震災、その他の平成を代表する出来事が描かれている。
実際、僕もそのときにどういった人と過ごし、どういった想いで当時を過ごしていたかを思い出すことができたし、こういった映画を観ない限りは人生を振り返ることがなかったので、僕と同世代の方に観てほしいと思った。
僕は本作の中で「人は出会うべき時に、出会うべき人に出会う。」という台詞が印象に残っている。
確かに、自分の人生を振り返ると、当時は思ってもいなかったけど、今思うとあの人に出会っていなかったら今の自分はいないかもしれない、と思えるような人物もいる。
人と人の出会いや、同じ時を過ごした人、人生の節目には多くの人が関わっている。
本作は、そういった人との出会い、めぐり逢いが多く描かれており、人生の節目で出会った人たちのことも思い出すことができる。
また、「めぐり逢い」をテーマにしている本作であるが、「糸」という曲、そしてこの映画をどう解釈するかも人それぞれであり、みどころである。
僕は「糸」をこう解釈している。
糸、それは人と人であり、その間にある、優しさとか暖かさである。
劇中で、「泣いている人がいたら、抱きしめてあげる」というセリフあり、この言葉がその優しさとか暖かさを体現しているように感じた。
「なぜめぐり逢うのか」
「糸」の歌詞の中にもあるが、「人と人がなぜ出会うのか」その意味を考えさせられる。
僕は、この映画を通じて感じ取ったように、優しさや暖かさを人と人の出会いに感じて生きていきたいと思った。
まとめ
原案・企画プロデュースを担当した平野はこの映画を企画するにあたり、「お客様が映画を鑑賞する前だけでなく、鑑賞した後も幸せな気持ちになれる映画を作りたいと思った」と語っている。
僕自身、学生時代に映画制作をしていたころ同じように「明日が今日よりも明るく、前向きになれる」ような映画づくりをモットーにしていた。
映画の主人公のように劇的な物語はないかもしれないが、それでも自分の人生にも色々ある。
もしかするとそれは、数年後にはどうでもいいことなのかもしれない。
そういったあの時の気持ちや感情を思い出し、そして前向きな明日をくれる映画である。
画像引用元:公式ページ
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